SKH51とは?特徴・用途や加工条件などを詳しく紹介
ものづくりのさまざまな現場で使用されている鋼材のひとつ「SKH51」。
名称を見聞きしたことはあっても、どのような特徴の材料なのか、どのような場面で使われるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、SKH51の基本的な特徴や主な用途、加工条件・方法、使用時の注意点などを解説します。材料選定や加工の参考として、ぜひお役立てください。
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工具鋼とは
SKH51は、工具鋼のうちの高速度工具鋼に該当します。工具鋼は、化学成分および性能によってJIS規格(JIS G 4403)では大きく3種類に分類されています。
-炭素工具鋼(SK材)
-合金工具鋼(SKS・SKD・SKTなど)
-高速度工具鋼(SKH:ハイス鋼)
高速度工具鋼(SKH材)の特長
JIS規格に規定されている高速度工具鋼は、ハイスピードスチール、通称ハイス鋼と呼ばれます。
炭素工具鋼や合金工具鋼と比較し、マンガン(Mn)やクロム(Cr)、モリブデン(Mo)などの合金元素を多量に添加し、耐熱・耐摩耗・靭性を高めた鋼材です。
摩耗に強く、粘り強く折れにくいため、過酷な条件下でも精度を保ち続ける必要のあるドリル・エンドミルなどの切削工具のほか、高精度なパンチなどの金型部品に重用されます。
SKH51とは?
SKH51は、高速度工具鋼の一種です。モリブデン系高速度工具鋼に分類され、タングステンとモリブデンを主要な合金元素として含んでいます。
世界的にも広く使用されている高速度工具鋼のひとつです。
高温環境下でも硬度を維持できる「高温硬さ」に優れており、高速切削や高負荷がかかる場面で安定した性能を発揮します。
汎用性が高くコストパフォーマンスにも優れていることから、切削工具や金型部品など幅広い分野で採用されています。
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性質・特徴
SKH51の最大の特徴は、熱処理後にHRC63〜65程度の高い硬度が得られる点です。
その優れた硬度に加え、耐摩耗性にも優れているため、摩擦や衝撃が繰り返しかかる環境でも長寿命化が期待できます。
また、600℃前後の高温でも硬度が大きく低下しにくい「高温硬さ(赤熱硬さ)」があるため、高速切削時に工具先端が高温になるような条件下でも安定した切れ味を維持できます。
さらに、モリブデン系であることから、SKH2~SKH10などのタングステン系の高速度工具鋼と比べて靭性のバランスにも優れており、折れや欠けに対する耐性もある程度確保されています。
被研削性が比較的良好で、熱処理後の仕上げ加工がしやすい点も実用上のメリットです。
主な用途
SKH51はその汎用性の高さから、さまざまな産業分野で使用されています。
切削工具
ドリル、エンドミル、タップ、リーマ、バイトなど、幅広い切削工具の素材として使用されています。
高速切削や連続加工が求められる場面でも安定した切れ味を維持できるため、自動車部品や機械部品の量産加工においても重宝されています。
金型部品
プレス金型のパンチやダイ、抜き型など、高い耐摩耗性と硬度が求められる金型部品にも採用されています。
繰り返しの衝撃や摩擦にさらされる部品に適した材料です。工具交換の頻度を抑えられるため、生産効率の向上やランニングコストの削減にも寄与します。
精密部品・治工具
ゲージやピン、シャフトなどの精密部品や、各種治工具の材料としても使用されています。
寸法精度が求められる部品において、耐摩耗性の高さが長期的な精度維持に寄与します。
SKH51の加工条件・方法
SKH51は高硬度の材料であるため、加工にあたっては適切な条件と方法を選択することが欠かせません。
ここでは、主な加工条件・方法を解説します。
切削加工
SKH51を焼入れ前に切削する場合は、一般的な高速度工具鋼と同様に旋盤やフライス盤での加工が可能です。
ただし、一般的な鋼材に比べて加工負荷が高くなりやすいため、超硬合金製の工具を使用し、切削速度をやや低めに設定するのが基本です。
切削液を適切に使用して工具の発熱を抑えることも、工具寿命を延ばすうえで大切なポイントです。
研削加工
熱処理後の切削加工は困難になり、研削加工が主な仕上げ手段となります。
一般的にはCBN砥石やアルミナ系砥石を使用して加工を行います。
研削時には過度な発熱による硬度変化や研削割れを防ぐため、低い送り速度と十分な研削液の供給を心がける必要があります。
放電加工
複雑な形状や微細な加工が必要な場合には、ワイヤー放電加工や型彫り放電加工が用いられます。
放電加工は工具と被加工材が直接接触しないため、SKH51のような高硬度材でも精度の高い加工が可能です。
ただし、放電加工後の表面には変質層が生じることがあるため、必要に応じて仕上げ研削や表面処理を行うことが推奨されます。
熱処理
SKH51の性能を引き出すには、用途や求める硬度に応じた適切な熱処理が重要です。
一般的には、高温で焼入れを行ったあと、焼戻しを複数回実施することで、硬度や靭性を調整します。
焼入れ温度が高すぎると結晶粒が粗大化して靭性が低下し、低すぎると十分な硬度が得られないため、温度管理を正確に行うことが重要です。
SKH51を使用する際の注意点
SKH51は汎用性に優れた高速度工具鋼ですが、使用にあたってはいくつかの注意点を把握しておく必要があります。
錆びやすい
ステンレス鋼のような耐食性がないSKH51は、湿気の多い環境や切削液が付着したまま放置すると錆びが発生しやすくなります。
使用後は水分や油分をしっかり拭き取り、防錆油を塗布するなど適切な保管管理を行うことが大切です。
靭性に限界がある
SKH51は高い硬度がある反面、過度な衝撃荷重に対しては欠けや割れが生じる可能性があります。
特に熱処理後は硬度が高くなる分、靭性が低下する傾向にあるため、強い衝撃が繰り返しかかるような用途には注意が必要です。
使用条件によっては、より靭性に優れた鋼種を検討したほうがよい場合もあります。
熱処理条件の管理が重要
前述のとおり、SKH51は焼入れ・焼戻しの温度管理が性能に大きく影響します。わずかな温度のずれが硬度や靭性のバランスを崩す原因となります。
まとめ
今回は、SKH51の特徴や主な用途、加工条件、使用する際に理解しておくべき注意点などを解説しました。
SKH51は高い硬度と耐摩耗性を兼ね備えた汎用性の高い高速度工具鋼であり、切削工具や金型部品など幅広い分野で活用されています。
材料選定の際には、加工条件や使用環境に応じて最適な鋼種を選ぶことが大切です。
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